🌼植物（野草の花）シリーズ partⅢ🌼

2023年1月17日投稿の「植物（野草の花）シリーズ・パートⅡ」に続く、植物シリーズの第三弾になります。昨年8月から10月にかけて撮り歩いた野草の花をメインに公開いたします。

撮影日：2022年8月19日　「荒川河川敷に咲くガガイモの花」

ガガイモ　キョウチクトウ科　イケマ属　つる性多年草　在来種

花言葉：「清らかな祈り」「味わい深い」

日本をはじめ、東アジア一帯に分布しています。各地の山野、草原や道端などに見られ、日当たりと排水が良い、肥えた土地を好みます。またガガイモの花は非常にユニークな外観をしています。上の写真のように、くるっと曲がったヒトデの足のような花びらに、毛のようなものが生えている様子が特徴的で、ある意味不気味な印象を受けます。ガガイモの利用法としては、生薬として乾燥させた種子は強精、止血に、葉は解毒、腫れ物に薬効があるとして用いられてきました。食用としても、若い芽は炒めものや煮物に。熟していない果実は天ぷらにして食べるのがおすすめのようです。またその他に、種子の毛を集めて、綿の代用や朱肉に用いたそうです。

撮影日：2022年8月21日　「荒川の土手に咲くキツネノマゴ」

キツネノマゴ　キツネノマゴ科　キツネノマゴ属　一年草　在来種

花言葉：「可憐美の極致」「女性の美しさの極致」「この上なくあなたは愛らしく可愛い」

夏の終わりから秋にかけて、道端や草地など身近なところで見られます。よく観察しないと見過ごしてしまいそうな、小さな美しい花を咲かせますが、日本に古くからあり、親しまれてきた草花のひとつです。名前の由来ははっきりとは分かっていないようです。一説には花が終わった花穂がキツネのしっぽに似ているとか、花の形がキツネの顔に似ているからと言われています。そして、孫（まご）は小さくてかわいい花と孫をかさねてつけられたのでしょうか。薬草としての歴史は古く、神経痛、リウマチ、腰痛、かぜ熱などに薬効があり、リウマチにはすりつぶして患部にはったり、解熱には煎じて飲んだり、腰痛には煮汁を入浴剤にして使用されていました。開花の時期に全草を乾燥させたものを用いますが、現在では薬草としてはあまり利用されていないとか。

撮影日：2022年9月8日　「荒川の土手に咲くキクイモ」

キクイモ　キク科　ヒマワリ属　多年草　外来種

花言葉：「美徳」「恵み」「気取らぬ愛らしさ」「陰徳」

北アメリカ原産で世界中に外来種として分布しているそうです。日本には江戸時代末期に飼料用作物として伝来し「豚いも」とも呼ばれていたようです。キクイモには「天然のインシュリン」といわれる「イヌリン」という成分が豊富に含まれていることから、美容や健康面で注目を集める食材のひとつです。現在、国内では野生化が進んでいるようですが、健康食品向けに栽培している農家が各地に見られるそうです。９月から１０月にかけて黄色い菊に似た花を咲かせますが、非常に繁殖力が強く、在来種に対し競合・駆逐のおそれがあるとされ、環境省から要注意外来生物に指定されています。役に立つ植物のようですが、外来種と言うものは何かと問題を抱えているようです。

撮影日：2022年9月9日　「ベランダ栽培で咲いたシソの花」 

シソ　シソ科　シソ属　一年草 　外来種

 花言葉： 「善良な家風」「力が蘇る」

 シソはヒマラヤやミャンマー、中国南部などが原産で、日本には中国から伝わったとされています。縄文時代の遺跡からもシソの種実が出土していますが、本格的な栽培が始められたのは平安時代からのようです。花期は晩夏のころで、花穂が次々と出て白または紫色の花が多数開花します。シソは本来は赤ジソのことで、青ジソはその変種なのだそうです。芳香の異なるエゴマは近縁種で、互いに交雑しやすいといわれます。シソは和風ハーブの代表格とされ、葉はもとより、若芽、花穂、実も食用にされ、主に刺身や手巻き寿司、冷奴などの料理の香味付けや彩りなどの添え物、魚の臭み消しなどに使われる他、漬物にも多用されています。また、栄養価が高い野菜であり、β-カロテン、カルシウム、ビタミンB1の含有量は、野菜類の中でも群を抜いて優れているそうです。こうしたことから、一般書の紹介などでは、食べる機会を増やすことが勧められています。さらに漢方医学では、主に夏に採取して干して乾燥させた赤紫蘇の葉を、理気薬（気が停滞している状態を改善する薬物、精神を安定させる目的もある）として処方しています。また秋に花穂から採取した熟した種子も、葉や茎と共に、解熱、鎮痛、鎮静、咳、喘息、便秘、嘔吐、食欲不振などの治療に用いられるそうです。

撮影日：2022年9月14日　「荒川の土手に咲くニラの花」

ニラ　ヒガンバナ科　ネギ属　多年草　外来種

 花言葉： 「多幸」「星への願い」

 ニラの原産地は、中国西部から東アジアにかけての地域と考えられていていますが、定かではないようです。日本へは中国から9世紀くらいに伝来したといわれています。道端や草地、河原の土手などでもよく見かける多年草ですが、なじみの野菜として盛んに栽培されています。なぜか欧米では栽培されておらず、東洋を代表する野菜だそうです。ニラはビタミンAやカロチンの含有量が多く、煮物、炒め物、汁物など、様々なスタミナ料理によく用いられます。また漢方では、種子を乾燥させたものを韮子（きゅうし）と言い下痢などに煎服し、茎葉を陰干しした韮日（きゅうび）は煎じて健胃、強精、強壮に用います。このように人間にとっては有用な食材ですが、タマネギと同様にイヌやネコなどの動物が食べた場合には、アリルプロピルジスルファイドと言う成分によって、血液中の赤血球が破壊され、血尿、下痢、嘔吐、発熱を引き起こすことがあるそうなので、大切なペットが食べてしまうことが無いよう注意しましょう。

撮影日：2022年9月15日　「荒川の河川敷に咲くツルマメの花」 

 ツルマメ　マメ科　ダイズ属　つる性一年草　在来種

花言葉： 「秘められた恋」「内気」「純情」

 ツルマメは日本を含む、東アジア原産で在来種です。また、ツルマメはダイズの近縁で、その原種と考えられています。古代（縄文草創期で約15,000～12,000年前）より人々が栽培し、さらに品種改良したものがダイズになったといわれています。夏から秋に、紫色の小さな花が葉のわきに咲きますが、株によって花色に多少の個性が見られます。果実は、枝豆をミニチュアにしたようなかたちです。中に豆（タネ）が3個ほど入っており、小さくて硬いですが食べられるそうです。果実は成熟するとパチンと音を立てて弾け、中の豆を撒き散らします。晩秋の頃、晴れた日に野辺を歩くと、ツルマメのはぜる音がほうぼうから聞こえて来るそうです。残念ながら私は聞いたことがありません。

撮影日：2022年9月15日　「荒川の河川敷に咲くヒガンバナ」

撮影日：2022年9月15日　「荒川の河川敷に咲くヒガンバナ」

ヒガンバナ　ヒガンバナ科　ヒガンバナ属　多年草　外来種

花言葉：「悲しき思い出」「あきらめ」「独立」「情熱」

原産地は中国大陸で、日本においては帰化植物に分類されています。別名は曼珠沙華（マンジュシャゲ）で、日本列島では北海道から南西諸島まで広く分布しています。秋の彼岸（9月）の頃に、花茎の先に強く反り返った鮮やかな赤い花を咲かせ、秋の終わりに葉が伸びて翌年の初夏に枯れるという、多年草としては珍しい性質を持っています。地下の鱗茎（球根）に強い毒性を有する有毒植物ですが、かつて救荒作物として鱗茎のデンプンを毒抜きして食べられていたこともあるそうです。

埼玉県日高市にある巾着田 は、ヒガンバナの名所として知られています。ヒガンバナの名所は多数あるものの、雑木林の中にある曼珠沙華の群生は希少なのだそうです。例年、9月後半から10月上旬まで、500万本のヒガンバナが咲きます。巾着田の最寄り駅である西武池袋線高麗駅には、多数の臨時列車が停車したり、彼岸花のヘッドマークをあしらった列車まで運行されているそうです。

撮影日：2022年9月16日　「荒川の河川敷に咲くアレチウリ」

アレチウリ　ウリ科 　アレチウリ属　つる性一年草　外来種

花言葉：「活気」「生命力」「邪魔者」

アレチウリは北米原産の帰化植物で、特定外来生物に指定されています。さらに日本生態学会の侵略的外来種ワースト100にも選定されているそうです。日本では、1952年（昭和27年）に静岡県清水港で、アメリカやカナダからの輸入大豆に、種子の混入が確認されたのが最初とされています。花期は8月から9月で、花の後には白いトゲに覆われた実がなります。繁殖力は凄まじく、1株当たり25,000個以上の種子をつけていた例も報告されているほどです。ツルのように巻き付きながら高木をも覆い尽くして枯死させてしまうほど繁殖力が強いこと、根が残ると再生することから、「まわりの固有在来種が根こそぎ駆逐されてしまう恐れがある」として、2006年（平成18年）2月から駆除すべき「特定外来生物」に指定されているそうです。

撮影日：2022年10月14日　「荒川の土手の斜面に咲くノコンギク」

ノコンギク　キク科 　シオン属　多年草　在来種

花言葉：「守護」 「忘れられない想い」 「長寿と幸福」

日本固有種のノコンギクは、野菊を代表する秋の草花のひとつで、全国各地の道端や畑の周辺で見られる植物です。同じく野菊の一つであるヨメナとよく間違われます。ノコンギク（野紺菊）の名前の由来は、「ノ（野）」に咲く「コンギク（紺菊）」からきており、その名の通り、ノコンギクはコンギク（紺菊）の野生品種です。野生種というと、いかにも栽培種からこぼれ落ちて広がったかように思えますが、実際はノコンギクを観賞用に選抜したものがコンギクになります。また、ノコンギクは食用となる山野草です。若い葉や花芽をおひたしや白和えなどで食べることができますが、ヨメナと違い葉に小さな毛が生えているため、少しザラつくような食感があるようです。風味は春菊に近いそうで、独特の苦味とクセが好きな方は試してみてはいかがでしょう。

撮影日：2022年10月19日　「荒川の土手の斜面に咲くイヌホウズキ」

イヌホウズキ　ナス科 　ナス属　一年草　外来種

花言葉：「嘘つき」「真実」

イヌホオズキは雑草として日本全国で見られる植物です。繁殖力が強く、野山だけでなく空き地や道路脇などいたるところで育ち、農家にとっては厄介な雑草のひとつとして知られています。ほぼ世界中の熱帯から温帯にかけて分布しており、日本へは有史以前に帰化したものと考えられています。7～10月頃に直径6～10mm程度の白い花を咲かせます。写真のように花びらは5つに分かれた星形で、後ろ向きに反り返るため、中央の黄色いおしべがよく目立ちます。花が終わると5～10mmほどの丸い実をつけます。実は緑色から黒へと変化してゆき通常は光沢がありません。また、イヌホオズキは実だけでなく、葉や茎などにもソラニンという毒性のある成分を持っているため食べられません。ソラニンはジャガイモの芽にも含まれる成分で、誤って食べると嘔吐や下痢、麻痺などを引き起こす恐れがあります。もし食べてしまった場合は、すみやかに医師の診察を受けてください。一方、加工したものは「龍葵（りゅうき）」という生薬として利用されてきました。龍葵には解熱や利尿などの効果があるとされています。しかしこれは正しく加工したものを用法、用量を守って使用した場合にのみ安全であり、自分で加工して使用することは絶対にやめましょう。

撮影日：2022年10月19日　「荒川の土手の斜面に咲くコシロノセンダングサ」 

 コシロノセンダングサ　キク科　センダングサ属　一年草　外来種 

 花言葉： 「不器用な」「不器用」「忍耐」「忍耐強い」「忍耐力」

 熱帯アメリカ原産の一年草で、近縁種の「コセンダングサ」の変種という位置づけになっています。（コセンダングサは黄色の筒状花だけですが、コシロノセンダングサには、写真のように白色の舌状花が余分に付いています。）白色の舌状花は４〜７個あるものが存在するようで一定ではないようです。舌状花はふつう長さ5〜7mmで、結実せず、筒状花だけが実るとのことです。別名シロバナセンダングサ、シロノセンダングサとも言うようで、花期は9〜11月です。センダングサ属の種類分けには色々な見解があって、専門家の間でも錯綜しているように感じました。変異しやすい植物なのでしょうか。ネットで色々調べていると「コシロノセンダングサエキス」と言うのが出てきました。『キク科の植物、コシロノセンダングサから抽出された成分で、レチノールが作用するレチノイド受容体に類似作用する油溶性エキスです。』となっていました。興味のある方はご自分で調べてみましょう。

撮影日：2022年10月19日　「荒川の土手の斜面に群生するチカラシバ」 

 チカラシバ　イネ科 　チカラシバ属　多年草　在来種

 花言葉：「気が強い」「信念」「尊敬」

 チカラシバは日本在来の植物です。北海道南西部以南から西南諸島まで、日本全土の広い範囲で生息しています。道端でよく見かける雑草のひとつで、ブラシのような穂が特徴的です。非常にしっかりした草で、引き抜くにも刈り取るにもやっかいで、和名の「力芝」も、ひきちぎるのに力がいることに由来するようです。チカラシバの葉は非常に硬くて丈夫です。その硬さから、家畜が好んで食べないので飼料的価値は低くただの雑草にすぎません。しかし、どんな雑草でも見方を変えたり、特徴を活かしたりすることで人の役に立つことがあります。チカラシバは、その穂が特徴的な形状をしており、緑色や黒紫色のインパクトがあるため、庭園や活け花にアクセントをつけることができます。庭草としては寒さや暑さに強く、乾燥にもつよいため、場所を選ばず栽培できるのが強みです。また、チカラシバは、イネ科の多年草のなかでは、種が大きく草丈も70～80cmと低いです。この特性に注目して施設の法面や河川敷、公園の脇などの緑化作物として注目されています。力強いイメージのあるチカラシバですが、実は他の雑草との競争にはとても弱く、人による刈り取りが発生している場所でないと生育できません。そんな訳で、チカラシバの「力」になりたくて、活用法も載せてみました。

撮影日：2022年10月20日　「荒川の河川敷に咲くセイタカアワダチソウ」 

 セイタカアワダチソウ　キク科　アキノキリンソウ属　多年草　外来種

 花言葉：「元気」「生命力」「唯我独尊」

 北アメリカ原産で、日本では切り花用の観賞植物として導入された帰化植物（外来種）です。同時期に増えた同じ帰化植物のブタクサと時折間違われ、よく花粉症の原因だと言われることがありますが別の植物です。セイタカアワダチソウも他のアキノキリンソウ属の植物と同じく薬効があり、現地ではハーブとして扱われます。花はハーブティになり、若芽はてんぷらなどにして食べられます。また葉はシュンギクをもっと青臭くしたような味ですが、花は蜜があるので甘いとのことです。この花からとれるハチミツは（カナディアン）ゴールデンロッドハニーと呼ばれ、養蜂家にとって、冬前に大量の蜜と花粉を集められる最後の機会となる花なので、重要な植物となっています。しかし、特有の匂いがあるため日本ではあまり食べられていません。この匂い（麝香臭）は「アンブレットリド」と言う香水にも使われる物質が、ハチの巣穴で濃縮されたことによるもので、トイレや靴下の匂いに例えられています。特に未精製の状態ではとても食べる気にならないほどの匂いですが、味は美味であるため、アメリカでは人気があるそうです。

撮影日：2022年10月20日　「荒川の土手の斜面に咲くカタバミの花」 

 カタバミ　カタバミ科　カタバミ属　多年草　在来種 

 花言葉：「喜び」「輝く心」「母のやさしさ」

 カタバミは、日本中の原っぱや道端などに自生しているカタバミ科の草花です。鉢植えや花壇の寄せ植えだけでなく、横に這うように成長していく性質を利用して、グランドカバーとしても育てられています。生薬としては、酢漿草（サクショウソウ）という生薬名があり、消炎、解毒、下痢止めなどの作用があるとされます。臨床実験で肝炎にも効果があったとの報告もあるようです。そして民間療法では絞り汁が虫さされに効果があるとも言われています。また、カタバミは家紋の世界に於いては五大家紋に入るほど重要視されている植物です。繁殖力が旺盛で根も強く、一度根付くとなかなか簡単には絶やすことができない特性があります。そこで、「（家が）絶えない」ということで、家紋としてよく使われるようになったと言います。特に世襲を重んじる武将の家では「家運隆盛」「子孫繁栄」の願いを込めて、カタバミを家紋として多用したのでしょう。

❀編集後記❀ 

メインテーマ「野草（雑草？）の花」の三回目となりました。今回は15枚の写真をアップしました。荒川の河川敷と土手の植物（13種）、家庭菜園のシソ（1種）となります。別の分け方として、在来種（6種）、外来種（8種）となりますが、この在来種と外来種の比率は、三回目までの総計では六割強が外来種と言うことになっていました。如何に多くの外来種が国内に入り込み、帰化植物として定着しているかが伺えます。そして、この帰化植物の多くが特定外来生物や侵略的外来種に指定されていて、日本固有の在来の植物に脅威を及ぼす存在として危険視されているようです。ですが、私の調べた限りでは、農業に害を及ぼす邪魔者、といった考えかたが大きく影響しているのでしょうか。荒川周辺の河川敷や土手の斜面を歩いてみた限りでは、在来種との住み分けが結構出来ているような気配が伺えます。実際はそれほど心配する必要はないかもしれません。今後も引き続き観察を続けてみたいと思っています。

次回は、2022年に撮り溜めた風景写真を整理してアップしようかと思っています。ではまた。